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事故の事例(柔道)
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 事故発生年月日
 発症者の経歴等
 事故発生場所及び状況
 事故当時の気象状況
 事故日までの気象状況
 事故に至る経過
 練習内容及びNの行動
 註釈
 出典

高校二年生の柔道部員が夏合宿練習中
熱射病に起因する横紋筋融解によって
急性腎不全で死亡した事故
 事故発生年月日
 1994(平成6)年8月8日〜10日に行なわれた、F県立A高校柔道部合宿中
 
 発症者の経歴等
 発症者は、F県立A高校のニ学年に在籍していたN(男性、16歳)。
 柔道は中学生のときより始めている。A高校入学時より柔道部に入部、事故のあった年の6月より、同部の部長となっている。
 身長170cm、体重70kgで合宿前は疾患もなく、健康であり、『真面目で素直な性格であった』。
 
 事故発生場所及び状況
 発症者は、10日の早朝ランニングにて、EW神社へ向う途中、合宿所より2.5kmほど離れた歩道上にて、座り込んでいたのを発見される。
※ 発症者が明らかに不調状態となっていることが確認され、対処が行なわれた時点を示している(熱中症が発症した時点を示すものではない)。

 A高校の夏季合宿は、同校のG記念館を合宿所として、練習は格技場(柔道場)にて行なわれた。
 G記念館の就寝場所には冷房設備等は無く、格技場はトタン屋根のもの。
 練習中、柔道場内の温度、湿度は外と比べ相当程度高かったと考えられ、特に合宿2日目の合同練習の際などには、窓、ドアなどを全部開放していたとしても、相当な熱気がこもっていたと見られる。

 水分補給の態勢については
 練習中に飲むことができる水分は、基本的に黒砂糖湯のみとなっていた。
ただ、合宿初日は、2日目に合同練習をするT高校教諭の差し入れの、1.5リットルのスポーツドリンク約8本を、黒砂糖湯の代わりとして用いられた。
 2日目以降については、黒砂糖湯を2.2リットル保温ポット4つで計8.8リットルを、午後には、午前中の残りに黒砂糖を300g加えたものが用意されていたのみとなる。
 用意されたものは、『1日2回の休憩時間にだけ飲むことが許されており、部員たちは湯飲み茶碗に1、2杯』程度飲むことができたのみ。

 この合宿中、水分を補給しないよう、黙示的な指導がされており、また、参加した卒業生は練習中水分を全く補給をしなかったことからも、水分を補給しずらい雰囲気なものであった。
 
 事故当時の気象状況
    F県AW市
日時 天気
概況
気温
湿度
風向
16方位
風速
m/s
日射
0.1h
雲量
10分比
付記
8/8 0900 快晴 29.7 66 NNW 1.5 1.0 0  
1000   31.7 57 NE 2.3 1.0  
1100   33.6 54 NNE 2.8 1.0  
1200 快晴 34.2 50 NNW 1.9 1.0 0+
1300   35.2 47 N 2.0 1.0  
1400   35.9 44 N 3.0 1.0  
1500 快晴 36.2 43 N 2.9 1.0 1 15:00時台に
日最高気温
1600   35.4 42 NNW 2.8 1.0  
1700   33.4 45 NW 3.3 1.0  
1800 31.1 54 NNE 0.8 0.3 2
1900   30.1 58 - 0.2 -    
2000   28.4 72 WNW 1.0    
2100 27.8 74 W 1.3   5
2200   27.0 77 W 1.2      
2300   26.2 78 SW 0.8    
2400   25.3 83 W 0.7    
平均 29.3 67   1.3   1.5  
最高(大) 36.5   WNW 3.7    
最低(小) 23.1 40        
8/9 0100   24.3 83 N 0.9      
0200   23.8 85 NW 0.6    
0300 快晴 23.3 86 - 0.1   0
0400   23.6 83 NNW 1.6    
0500   22.7 88 N 0.7 -    
0600 快晴 23.2 86 NW 0.9 - 0
0700   25.0 83 NW 1.2 0.9  
0800   26.5 78 WNW 1.7 1.0    
0900 快晴 28.3 71 NNW 1.7 1.0 0  
1000   30.2 65 NNE 1.2 1.0  
1100   32.1 60 N 2.1 1.0  
1200 快晴 33.6 57 NNW 2.1 1.0 0+
1300   35.5 52 NNW 2.3 1.0    
1400   36.1 42 ESE 4.3 0.8  
1500 雷電 33.9 47 E 3.9 0.2 6  
1600   30.6 66 WNW 4.5 -  
1700   30.2 68 W 1.8 0.4  
1800 28.1 76 NNE 2.1 - 4  
1900   28.7 74 SE 1.2 -  
2000   27.9 77 SSW 1.3    
2100 26.3 86 WNW 1.1   5
2200   25.2 87 NE 0.9      
2300   25.4 87 S 0.7    
2400   24.6 91 SE 0.4    
平均 27.9 74   1.5   2.8  
最高(大) 36.7   E  5.0    
最低(小) 22.6 42        
8/10 0100   23.9 94 WSW 0.4      
0200   23.5 94 W 0.7    
0300 快晴 23.2 94 SSE 0.7   0
0400   22.7 95 SE 0.3    
0500   22.2 96 - 0.2 -   座り込んでいるの
を発見される
0600 快晴 22.9 95 ENE 0.4 0.3 0
0700   25.0 86 NW 1.4 1.0    
0800   27.0 76 NNW 0.7 1.0  
0900 快晴 29.5 66 N 1.6 1.0 0
平均 29.3 66   2.4   0.1  
最高(大) 37.3   E 5.9    
最低(小) 22.1 31        

 ※ ここで示している値は、最近地となる気象庁測候所の屋外で測定されたものであり、合宿が行なわれていた実際の環境条件を示すものではありません。
 屋内の場合や、日中の道路上などでは、これらの値よりも高い数値を示す場合が通常と考えられます。

 薄い桃色は、練習時間と設定されていた時間帯を示します。
 この時間としての気温平均についてをみてみると、練習時間全体の平均は約 29.5℃となります。
 午前、午後の時間帯は、気温平均約 32.3℃で、殆どの時刻で気温 30℃以上となっており、午後の練習時間などは、その日の最高気温となる時刻付近に設定されています。
 また、午前、午後の練習時間において、湿度が著しく低い値を示しているのは、気温がとても高くなっているためのもの。
 早朝の練習時間帯は、気温平均 23.2℃、湿度平均 89.6%となっており、環境条件としてはとてもきびしいものと推測されます。

 薄い青色は、就寝時間と設定されていた時間帯を示します。
 この時間としての気温平均は約 24.5℃、湿度平均は、約 87%(最低77、最高95)となっており、湿度が著しく高い状態であったことが伺え、また、気象庁が熱帯夜と示す環境となっていたものと考えられます。
 
 事故日までの気象状況
天気概況
06-18時
天気概況
18-06時
気温

平均
気温

最高
気温

最低
湿度

平均
湿度

最小
風向
16方位
風速
m/s
平均
風速
m/s
最大
 F県AW市
7/20 晴一時薄曇 曇時々晴 27.2 33.5 21.1 72 43 SE 1.7 4.7
7/21 晴後一時曇 晴時々曇 28.2 34.1 22.7 70 47 E 1.7 4.7
7/22 快晴 28.4 34.0 22.4 67 43 E 2.7 5.6
7/23 27.8 34.0 21.1 65 41 E 2.3 6.2
7/24 快晴 27.9 34.4 21.0 69 45 ESE 1.9 5.1
7/25 晴後一時薄曇 28.2 35.4 21.7 68 41 E 2.4 5.3
7/26 曇一時晴 曇時々晴 28.3 35.6 21.6 69 44 SES 1.5 4.1
7/27 晴一時目 28.6 35.5 23.8 74 46 SNS 1.6 5.3
7/28 28.1 35.2 22.7 71 44 SES 2.3 6.0
7/29 晴時々曇 晴後曇時々雨 26.2 31.1 20.3 71 54 E 2.6 5.6
7/30 晴時々曇 曇時々雨
雷を伴う
28.7 34.9 23.4 74 46 E 2.3 5.6
7/31 晴時々曇 曇一時雨 27.9 33.2 23.8 81 56 NW 1.6 4.8
8/1 雨後曇 28.1 33.0 24.0 79 58 NW 1.3 4.0
8/2 曇後一時雨 曇一時雨 28.2 34.6 24.5 79 54 NW 1.8 6.4
8/3 晴時々曇 27.9 32.4 25.1 77 58 NW 2.1 5.0
8/4 晴時々曇 曇時々晴 28.0 33.2 23.7 77 54 NW 1.9 5.1
8/5 曇時々晴一時雨
晴時々曇一時雨 27.4 32.1 24.0 81 61 W 1.3 4.8
8/6 薄曇後晴 快晴 28.2 34.4 23.2 76 50 NW 1.4 4.8
8/7 晴一時曇 28.9 36.1 22.2 72 42 NNW 1.6 4.5
8/8 29.3 36.5 23.1 67 40 WNW 1.3 3.7
8/9 27.9 36.7 22.6 74 42 E 1.5 5.0
8/10 快晴 29.3 37.3 22.1 66 31 E 2.4 5.9

 7月、8月の気温についてみてみると、最高気温が30℃以上となった日や、平均気温が25℃以上となった日の数は、平年に比べ約10日程度多くなっています。
 事故が起きたところの地形特性により、日が出ると(5時頃)急激に気温は上昇し、日中の14時〜15時頃に最高気温に達しています。この変化量は約9時間で約10℃程となっています。
 また、風については月平均、風速 1〜2m/s程度、風向 N〜NWが最も頻度が高くなっています。
 
 事故に至る経過
 A高校柔道部の夏季合宿では、 『部員達は、この夏季合宿に備えるため自主トレーニングを』行なうことがなされており、『いつもは7月に行う恒例の夏合宿は、翌年に行なわれる国体のプレ大会などによって8月にずれ込んでいた』。そのため、自ずと自主トレーニングの期間も長くなっていた。

 合宿の参加者は、一年生2名、二年生5名、三年生6名の在校生計13名と、卒業生4名および同校柔道部顧問のS教諭で、合計18名であった。
 練習時には、一、二年生(計7名)の相手を、三年生と卒業生(計10名)が行なうようなものとなっていた。

 同校柔道部においては、5年前の夏季合宿において、同部部員の部長、副部長(ともに同校生徒)が脱水症状で倒れ入院するということがあった。その際も、S教諭は同部の顧問であった。
この『5年前に倒れた部員も自主トレーニングを行なっての合宿参加だった』。
 
 練習内容およびNの行動
 8月 8日
11:00 一、二年生の集合
13:00 合宿所集合
14:00 合宿の打ち合わせ
15:00-16:00
(1時間30分)
柔道場にて練習
準備運動、柔軟体操、寝技
 暑かったため、開始時刻は予定より30分繰り下げられた。
16:00-16:20
(20分)
休憩
16:20-1730
(1時間10分)
練習再開
立ち技(打ち込み)の反復練習
乱取り(一、ニ年生と卒業生、三年生が相対し、試合に近い形で技を掛け合うもの)
整理運動、正座黙想等
 S教諭は練習終了時、練習後「水のがぶ飲みをしないよう」
 注意をした。
18:00 夕食
 この夕食時には、大量のカレーライスがだされた
 S教諭はこのとき、「水をがぶ飲みした者、手を挙げろ」などと
 指導していた。
18:40 後片付け、風呂、自由時間
22:00-05:00
(7時間00分)
消灯、就寝
 22時の気温27.0℃、翌1時以降で25℃以下となり
 この夜は熱帯夜となっていた。
 また、このころには、Nの体調に変化が起きていたと推測される。
 8月 9日
05:00 起床、挨拶、準備運動
05:15-06:40
(1時間25分)
ランニング(合宿所から鶴ヶ城まで)
ダッシュ 30m×10本
鶴ヶ城一周(本丸〜武徳殿〜西出丸〜本丸)ランニング競争
整理運動
 Nはランニング競争の際には、1回目、2回目とも2位だった。
07:00 朝食、休憩
09:30-11:30
(2時間00分)
柔道場にて練習
準備運動、柔軟体操
寝技、打ちこみ、掛かり稽古
整理運動、正座黙想等
 C高校(生徒7名)とT高校(生徒12名)との合同練習。
 この時点で格技場内にて推定で37名により
 練習が行なわれたこととなる。
12:00 昼食、休憩
13:00-16:00
(3時間00分)
柔道場にて練習
準備運動
筋力トレーニング
 暑かったため、開始時刻は予定より30分繰り下げられた。
 Nは筋力トレーニングの際、
 『いつもは一番早く筋力トレーニングを終了するのに、
 フラフラしていたという状態』であった。
16:00-16:20
(20分)
休憩 
16:20-1720
(1時間00分)
練習再開
匍匐(ほふく)運動
技の研究(卒業生、三年生が一、二年生に付き、各種の技を実際に掛けて指導)
整理運動、正座黙想等
 Nは練習終了間際のころには
 下痢の症状を呈していたと伺われる。
 S教諭は、生徒の疲労具合から長い時間練習を行なっても
 無駄と判断して、10分ほど早く練習を切り上げた。
18:00 夕食
18:40 後片付け、風呂、自由時間
22:00-05:00
(7時間00分)
消灯、就寝
 前日と同様、熱帯夜となっていた。
 8月10日
05:00 起床、挨拶、準備運動
05:20 ランニング EW神社(合宿所より4kmのところ)までの往復8km
05:40頃 合宿所より約2.5kmほど離れた所にて
歩道上に座り込んでいるNをS教諭が発見
乗っていた乗用車で合宿所まで運ぶ
 S教諭は、Nを発見してすぐにスポーツドリンクを与えた。
  合宿所に運ばれたNは汗を異常にかいていた為、他の部員からシャワーをかけてもらう
 Nは『シャワーを浴びて寝かされたが、
 震えが止まらなかったという』。
06:00頃 Nの状態が改善しなかったため、S教諭の車で、T綜合病院に搬送され入院した
 入院当初、Nの意識は清明。
 担当のD医師に対して、「8日午後から柔道部の合宿をしており
 練習は激しかったが部長なので責任上頑張っていた。
 8日の夕食に大量のカレーライスを食べさせられ、
 下痢(軟便3回)をし、尿も褐色であった。」と訴えた。
09:40 血液検査の結果
CK(クレアチンキナーゼ)の測定値が4000以上、LDH(乳酸脱水素酵素)は7777、GOT(グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ)は2277とのいずれも高値を示し、D医師らは、その発症経過から、「脱水と運動負荷などを誘因とする横紋筋融解症とそれに伴う急性腎不全」であると診断
  治療方法として
補液、昇圧剤、ステロイドなどの投与、血液透析などの医療処置が講じられた
 8月11日
23:22 死亡
 D医師の所見
 Nの死亡に至る機序につき、「厳しい暑さの中で、
 水分や塩分を補給することなく、激しい運動を続けた事が原因で
 横紋筋の融解を引き起こし、その横紋筋融解により
 腎不全となった後、高カリウム血症が生じ、
 高濃度のカリウムを含む血液が心臓に流れ込んで
 心臓停止を引き起こした。」旨を述べている。
  合宿中止後には、脱水症状で二年生の部員が入院治療を受けている
時刻
(練習時間)
内容
 付記
 註釈
 『2重かぎ括弧』について
 出典よりの引用を示します。
うち、特に付記の無いものは、コーチング・クリニック編集(1998)よりの引用を、その他については、付記した参考資料よりの引用となっています。
 また、記述内容については、ページ作成者により改変をしております。
 
 水分補給について
 練習時の水分補給については、本件事故後の平成9(1997)年に全日本柔道連盟より出された資料では、『練習前の水分補給として、30〜1時間前に300〜500mlを、練習中の適切な水分補給、練習後の水分補給をこまめに実践することが大切』とされており
 『練習中は30分毎に休憩をとり、ウォーターブレイクとして、6%の糖分と10〜20mEqの電解質(NaとCl)を含んだ水分を補給し、1時間当たり、500〜1000mlを補給する』ようにとされています。
 (6%の糖分と、10〜20mEqの電解質を含んだ水分については、通常濃度のスポーツドリンクが、そのようなものとなっています)

 以上により、本件合宿時の水分補給態勢には不備があったといえます。
また、参考として「水分補給と体調管理」と「スポーツ種目別の注意点 柔道」をご覧下さい。
 
 黒砂糖湯について
 S教諭が『高校生のときに飲んで疲れが取れたという経験から』、実施させていたもの。
 やかん(5リットル)に水を4リットルほど入れ、沸いたところへ黒砂糖を約500gを加えたもので、温度は熱湯に近いものが用意されていた。
 この黒砂糖湯は、S教諭よりの指示で、手伝いに来ていた部員の母親達が作った。
 
 合宿時の食事について
 S柔道部顧問教諭は、『身体の大きな生徒を集めている他校と戦うためには、まず同様の身体をつくる必要があるとの考えから、食べて体重を増やすことを特に重視していた』。
 合宿初日の夕食時に出されたカレーについて、ご飯は山盛り、カレールウは皿から流れ落ちてしまうほどの盛り付けで、わけられたものを食べ残してはならないとされていた。また、おかわりを受けるのは、卒業生か三年生が行なっていた。
 そのため、一、二年生は、卒業生や三年生、S教諭などよりの圧迫を受けながらのものとなっていたと推測され、無理に食べなくてはならない、おかわりはせざるを得ないような状況だったと伺われる。
 
 熱中症の時の体の冷やし方について
 原則として「震えをおこさない」ということがあります。
 体の外から冷やすという方法は、体表面に回ってきた血液を冷やし、その冷えた血液を体中にめぐらすことにより、体を冷やすというものです。
 震えがおきると、体表面の血管が収縮して血管が狭くなり、血流がわるくなります。そうすると、体の外より冷やしても、冷えた血液が体中へとめぐりにくくなり、効果的に体を冷やすということが難しくなります。
 詳しい冷却の方法については、「応急手当」のページをご覧下さい。
 
 下痢となった原因について
 下痢に至らしめた原因を考察してみると
1.急激な練習量、質の増加と、部長としての責任による
  精神的、肉体的ストレスがあった
2.著しく環境状態がきびしいものでの練習であった
3.合宿初日(8日)の夕食時、大量のカレーライスを食べざるをえなかった
4.練習終了後、片づけなども終えた直後の食事となることより
  体の状態は食事を受け付けることができる状態ではなかった
5.就寝時においても、気温、湿度が高いものであり、また、過度の疲労により
  十分な睡眠がとれることができなかった。
 以上のようなことが推察され、これらのことより、肉体的、精神的疲労と、大量の食事により、下痢の症状を引き起こしたと考えられ、また、この下痢は脱水症状の要素となったと思われる。
 
 横紋筋融解症について
 横紋筋の細胞が融けて破壊される疾患。
 『筋が融解すると筋中に含まれるクレアチン、ミオグロビン、リン、カリウム、尿酸などの物質が血液中に逸脱し、それらの血中濃度が高値となり、その血液が腎臓に流れるため、尿細管が詰まることで腎不全となり、時には死に至る場合がある。
 横紋筋融解症の原因としては、熱射病の合併症として起こるケースが多く、高温時に水分、塩分を補給することなく激しい運動を行うことにより、細胞内の電解質バランスが崩れ、カルシウムイオン濃度が異常に高まり、細胞が破壊されるもの』。(判例より引用 改行は作成者による)
 
 
 出典
平成9年1月13日 福島地方裁判所会津若松支部 判決 平成7年(ワ)第64号
損害賠償請求事件 一部容認、一部棄却 控訴
判例時報 1630 122-127

1997年9月18日付け 河北新報

コーチング・クリニック編集(1998)
特集 スポーツ事故から子どもを守る 部活動で子どもを失った親の声
コーチング・クリニック 1998(3) 12-15

全日本柔道連盟 水分摂取に関するプロジェクト(1997)
柔道競技における水分補給−競技力向上と水分摂取−
 
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