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スポーツ種目別の注意点
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野球 野球

野 球 baseball
 野球の特殊性
熱中症による死亡事故がとても多い
 日本体育・学校管理センターの資料(1975〜1990年の間に小学、中学、高校の学校管理下で発生した熱中症による死亡事例)を元に、川原(1993)が分析を行なった報告によると、死亡事例90件のうち、19件が野球でのものであり、最多の事故数となっています。
 競技人口が多いためや、地域による隔たりがないためと推測されますが、野球という競技の特殊性によるものも考えられます。
 特徴
@ 服装
 野球のユニフォームは、上にインナーシャツと、その上に上着を着る、下のパンツは長い裾のものとなっており、暑い環境では、衣類が多いものと考えられます(特に試合時において)。
 
A ポジションによる差異
 ポジションによる運動量などの差異が想定されます。投手においては、他のポジション比べ運動量がとても多く、また、捕手では、防具を身に付けるため、熱の放散が悪いことによる発汗量の増大と、重量による疲労が考えられます。
 
 
 特に注意する点
 練習
○ 服装
 練習などでは、可能な限り軽装にするようにし、試合時に着るユニフォームは、汗をよく吸収し発散し通気性のよいものを選択すべきでしょう。
 練習時に着る服は、なるべく、濃い色は避けるようにし、また、ウインドブレーカーのような素材のアップスーツなどは、必要(寒いときなど)に応じて着るようにして下さい。とくに減量目的での着用は絶対に避けるべきです(減量は他の方法で行うべき)。
 
○ 環境を作る
 例えば、20分おきに水分補給をするならば、練習のブロックごとにウォータージャグなどを設置することとなります。そうでないと、外野のなどでの守備練習中の者が水分補給をすることは不可能となってしまうからです。
 水分補給ができるものを、バックネット裏などに必ず設置しているもの思いますが、それ以外のところにも設置するようにするか、もしくは、個人ごとにドリンクボトルを持たせるようにする必要があります。身近なところで自由に水分補給できる環境が重要なこととなります。
 また、長い時間(20分以上)の及ぶ、ランニングなどの際にも、水分補給を行なう必要があり、外に出て行うようなときには、行程途中に補給ができる個所を設置するなどの処置を行なって下さい。もしくは、各自でボトルを持って走らせるなどのこともするべきと思います(死亡事例中、ランニング中にというものが目立つからです)。
 
○ 雰囲気を作る
 特に下級生などは、上級生や指導者が水分補給をするようにと言わない限り、なかなか水分を摂ろうとはしないものと考えられます。
 野球においては、日本の伝統的思想の影響が未だに色濃く残っていることも要因の一つと推測されますが、水分補給の必要性を教育することに加えて、ウォーターブレイクをこまめにとることによって強制飲水を行い、必ず水分を取らせるようにすることが必要です。
 
 
 試合
○ ゲーム前には必ず水分補給をする
 水分を摂るということは、運動中の体温上昇を軽減させ、熱中症を予防するだけでなく、パフォーマンスの向上、運動時の精神的ストレスを緩和するなどの効果があり、直接、競技力の向上につながるものです。
 
○ バッテリーは特に注意
 上記に書いた理由により、投手と捕手は、とくにこまめな水分補給が必要となります。捕手については、防具の脱着などがあるため、周りの者が速やかにサポートするなどをして、水分補給をして下さい。
 
○ 試合全般について
 野球の試合においては、他の競技に比べて、水分補給がしやすい環境といえます。味方の攻撃中などに積極的な水分補給と体の冷却(特に捕手と投手)を行なってください。
※ アイスパックや氷嚢、冷たいタオルなどで
  以下のように冷やすことをおすすめします。

投手・・・肩や腰など特に疲労や、熱を持っている部位を中心に
捕手・・・プロテクターなどを外した上で、着ているものを緩めて
     首筋、腋の下を中心に

 ただし、試合時間が長いということが特徴といえます。その為、精神的なストレスが多いものと考えられますので、柑橘系の果実(オレンジ、レモン、グレープフルーツなど)や、消化吸収のよい食べ物(バナナ、ゼリー飲料など)を用意して、気分のリフレッシュに努めるとともに、エネルギーの補給をして下さい。延長戦時などには特に効果的なものとなります。
 
 
 参考資料
川原 貴(1993) 小学、中学、高校のスポーツ活動における熱射病死亡事故の実態
平成4年度 日本体育協会スポーツ医・科学研究報告 29-33
 
 参考事例
私立高校の生徒が、野球部の合宿練習中に日射病に罹患して死亡した事故
町立中学校一年生の野球部員が、練習中の休憩時に熱射病を起因とする心不全により死亡した事故
 
lone nami
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