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時刻 | 内容 |
09:00頃 | 練習開始 ランニング(200mグラウンド10周) 体操 キャッチボール 素振り |
09:50頃 | 休憩(1回目) Yが、持参の水筒の水をゴクゴク飲んだところ K教諭から、あまり水を飲まないよう注意される。 |
10:20頃 | 練習再開 守備練習としてのフットワーク練習(ゴロ、ワンバウンド、ノーバウンドの球を 各ミスなく50球捕るまで続ける、合計150球) 小学校時代より野球をやっている者にとってもきつい練習であった。 この練習は、夏休み前の練習で3、4回行なわれただけで 夏休みに入ってからはこれが初めてであった。 Yは、捕球に難があったため、ミスなく決められた回数をこなすのに 他の部員より多くの時間を要し、最後の方では 這いつくばって球を捕る有様で、衣服は汗と土で泥まみれになった。 |
11:00頃 | 休憩(2回目) Yは休憩に入ってすぐ、K教諭の許可をとって、 堤防の反対側にある灌漑用水路に手を洗いに行く。 フラフラしながら堤防を上がっていき、セメントの部分で足を滑らせた。 この様子を見たK教諭は、Yの状態が普通でないと判断して 部員Oに一緒についていくように指示する。 Yは、灌漑用水路で手足を洗い 近くにいた農夫に、水が飲めるかを聞いた。 汚くて飲めないとの答えであったため、これをあきらめた。 グラウンドに戻ろうとして、部員Oと堤防を上り、 中段付近まできたところで、突然意識を失い仰向けにゴロンと倒れた。 Yはそのままその場で倒れていたが、10数分後全身を激しく痙攣させ、 口から泡を吹き始める。 このため驚いた部員Nの知らせで、 K教諭及びL助教諭(ソフトボール部の指導教諭)が駆けつけ L助教諭が近くの公衆電話で119番通報をする。 |
11:47 | 救急車でYを近くのH病院に搬送。 意識なく昏睡状態、体温40.1℃、血圧値最高64、最低30、 瞳孔の対光反応なし、全身にチアノーゼがあり、 きわめて重篤な状態であった。 H医師は、症状から見て熱中症であると判断し、 直ちに応援の医師を呼び寄せ、 ステロイドホルモン、昇圧剤の投与、酸素吸入などの救命処置を講じた。 |
14:40 | 死亡。 Yの衣類は汗のため、水をかぶったように濡れていた。 |
出典 |
平成5年6月25日 徳島地方裁判所 判決 平成元年(ワ)第399号 損害賠償請求事件 一部許容、一部棄却 控訴 判例時報1492号128項 日置雅晴(1995) 熱中症に無理解なスポーツ指導者へスポーツドクター側からの事故防止の警鐘 臨床スポーツ医学 12(1) 78-80 加藤英俊(1996) 熱中症とスポーツ指導者の責任 仙台大学紀要 27 123-135 |